公務員はクビになることがなく、給料もそれなりに良く、定年まで勤務していれば退職金も沢山もらえます。
特に私は中央省庁に入省した国家公務員だったので、日本が転覆しない限りは、民間企業のように倒産するリスクもありません。
ではなぜ私は国家公務員を辞めたのか?
その理由を共有することで、同じモヤモヤを抱えている公務員の方々が自分の将来について考えるきっかけにして頂ければと思い、今回筆をとりました。
私が新卒で国家公務員になった理由
私が大学院生の時、太陽光発電の技術が急成長していた時期で、日本においてもシャープや京セラの太陽光発電技術が注目を集めていた時期でした。
そして、私の大学における専門が半導体物性だったこともあり、私は再生可能エネルギー(以下、再エネ)技術に強く興味を持ちました。
大学院生の私にとっての選択肢は、研究者として太陽光発電技術の研究を通して再エネの普及に貢献するか、社会システム構築というアプローチで再エネの普及に貢献するかのどちらかでした。
私自身、研究はとても好きだったのですが、研究者はやや視野が狭い部分があるので、より広い視点で色んな人と関わりながら再エネを普及させるプロジェクトに参加したいと思い、とある中央省庁に入省しました。
違和感を感じたこと
私は転職することが決まった瞬間においても、国家公務員であるという誇りを持って働いていました。なぜなら、国家公務員の仕事は、国の仕組みを作るというとても影響力のある仕事のはずなので、それに見合うプレッシャーを自分自身に課していました。
ただ実際の仕事内容は、私にとってはつまらないものでした。これは人それぞれ感じ方が違うので、あくまで私の感想です。
公務員の仕事の多くは、意味のない調査やルーチンワーク、〇〇課長や〇〇議員の要求に応えるための忖度の繰り返しです。これらの仕事は、ほとんどの場合が社会に対して何かの付加価値を生んでいるわけではありません。私自身は「税金から給料をもらっているにも関わらずこんなことばかりやっていて申し訳ない」という思いにずっと駆られていました。
そして何よりおかしいと感じたことは、組織自体がとても古い体質ということです。年功序列なので、基本的におじさんが良いポジションについていて、40歳を超えたほとんどの職員は自分で何か新たな付加価値を生み出すために、自分で動いて新しい仕事するという気持ちがありません。
私が行動を起こそうとしたことを本気で潰しにかかろうとするおじさんもいました。「この人たちは一体誰のために働いているんだろう?」と日々疑問に感じていました。
国家公務員は、税金を払っている国民に対してもっと良いサービスを提供すべきです。
で、自分は何をしたいのか
改めて、自分は将来的に何をしたいのかということを考えました。転職をするにしてもこれがわからないと話になりません。
あれこれ考えた結果、明確な単一目標(独立したい、新エネ普及率を80%にしたい等)があるわけではないことに気が付きました。
関心が高いことはいくつかありますが、ある一つのモノに人生の全てを賭けるというものがないということです。
たぶん私は、その時に面白いと思ったコトに対して、面白い人たちとワクワクする議論をし、手と足と頭を動かし続けていたいだけなんだと思います。つまり今の私にとっては、“自分が第一優先”で、その次に日本の社会や世界の困っている人たちを助けることができればよいということです。
“日本のため”ということを本当に心の底から第一優先と思っているのであれば、国家公務員を辞めるというような発想がそもそも出てこないと思いました。
そのような自分の本質に気づいた時、目標がないフワフワした自分に対して、とても不安になりました・・・
自分を変えるきっかけを作りたい
このように客観的に自分のことを見つめなおした時、たぶん私は心のどこかで「今のフワフワした自分を変えるきっかけを作りたい」と感じているのだということが分かってきました。
これが、私が転職を決意した本質的な理由です。
つまり「新しい環境で熱い仲間と共に、必死になれる何かを見つけ、自分をアップデートし、仕事を通して人生を充実させていきたい」と思ったということです。
この記事を書いている今でも自分のことがわからない部分がありますが、はっきりと分かることは、公務員の組織で働くことに対して強い停滞感を感じ、このままでは自分が死んでしまうかもしれないという不安の中で、何か少しでも前に進みたいと思いました。
ただもう一つはっきりと分かっていることは、停滞感を感じてしまうのは全て私自身の責任だということです。国家公務員の中にも、とても優秀でどんな環境でも自分をブラッシュアップし続けることができる人が何人かいます。
私も本当はそうすべきだったのかもしれませんが、私は弱い人間なので、自分で自分のことを変えることが出来なかったということです。
安定とは何か
「公務員は安定である」というのは果たしてそうなのでしょうか。
上述の通り、確かに組織がなくなるリスクはほぼゼロなので、職を失うリスクという観点だけみれば安定であると言えます。
しかし、人生における安定は組織がなくなるリスクだけで語れるものではないと私は思います。
では、どんなリスクも考える必要がるかというと①精神的なリスクと、②高齢者になった時のリスクだと思います。
①について、多くの方がそうだと思いますが、スマホの普及によって24時間365日、仕事と繋がることができるようになっています。このような状況において、仕事とプライベートを切り離して考えることが困難な時代になっているものと思います。
そのような四六時中仕事と繋がることができる今の社会においては、仕事をどのように自分の中に位置づけるかというのがとても重要で、つまらなくてストレスしか感じない仕事を続けることは健康に害を及ぼしますし、悲しい人生を送ることに繋がると思います。
②について、仮に100歳まで生きてしまった時に、一つの仕事をし続けて本当に経済的に大丈夫かということです。色んな仕事を通して色んな能力を身に付け、仕事のポートフォリオを形成することが重要だと考えました。年金システムのいつまで持続するかわかりません。
つまり、今の社会システムにおいて公務員で定年まで働き続けることは安定ではなく、むしろリスクも高いし、生きていて楽しくないということだと思います。
以上が、私が公務員を辞めて民間企業に転職した理由です。
本記事が、公務員や大企業にお勤めの方が前向きな気持ちで、生き生きとした人生過ごすための第一歩を踏み出すきっかけになりましたら大変嬉しく思います。
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